Vol.1 サンバな世界にご招待!

Vol.1 サンバな世界にご招待!/基礎知識1 サンバとは2拍子のリズム

サンバ」と聞いて、ほとんどの人の頭の中に浮かぶのはあの、露出度の高いド派手な衣装を着て羽根を背負ったダンサーたちであろう。リオのカーニバルにしても、そして笑っちゃうくらい規模が落ちて「浅草サンバカーニバル」でも、ニュースなどでちらりととりあげられることがあるが、たいがい映像はそれである。

そして、まあリオはともかく、浅草サンバカーニバルにしても「わあすごーい」とは思っても、「私には縁のない世界のこと」と感じ、あるいは「いったいどういう人たちが『こんなこと』やってんのかしら」と思うのが普通かもしれない。

しかし「どういう人たちが?」という疑問に対する答えは「フツーの人たち」なのである。フツーの、どちらかといえば生真面目さえといえる社会人が、少なくとも私の所属しているサンバチーム「リベルダージ」のメンバーのほとんどだ。おまけに、決して人々が期待?するような「派手な若い女の子」が多いわけではない。50代の現役ダンサーだっている。男性も多い。もちろん「あの」衣装を着るわけではない(しかし男性でも「サンバやってます」と人に言うと、「え、じゃあ、女装するんですか?」と聞かれることは日常茶飯事であるようだ)。とにかく老若男女、職業もステータスも様々な人々がチームにはいる。本当に、ごくあたりまえの(小)市民たちである。

 ところがサンバをやり始めると「フツー」ではなくなる、とも言える。いや、異常になるわけではない・・と思うが、サンバなしでは夜も日もあけなくなってしまう人が続出するのである。そしてまた、「フツー」では味わえない楽しみや喜びを感じるときがある。そんなこんなでサンバ人は「フツーではなく」幸せなのである。外部者として見ているだけでは決して味わえない幸せ。

 まあ、サンバをやり始めるとちょっと「オバカ」になる、とも言えるが、そしてどうも、社会的成功といった類のものに縁遠くなるとすらも言えたりするが、バブルもはじけてずいぶんたち、右上がりの経済成長など当分見込めず、発想の転換を求められている昨今、ラテンの国々の人々のように「人生を思いきり楽しむ」境地になるのもアリではないか。
 というわけで、これから、サンバをやっている私たちのオバカな幸せぶりを少しずつご紹介していきたいと思う。

Vol.1
サンバとは2拍子のリズム

実際にやっている当人たちからすれば、「サンバって何?」という問いには、言葉があふれてとまらないくらい思い入れやウンチクがあり、「サンバってダンスの一種でしょ」と言い切ってほしくない・・のだが、そういうのは追々お伝えするとしよう。第1回目、ということで、じゃあ、とりあえずサンバを楽しむにはどうしたらいいのか? ってことからお話ししよう。

 ぶっちゃけた話、ステップなど複雑なことは気にせず、ただ「歩く」、これでOK。サンバは2拍子なので、「右、左、右、左」と順番に足を踏んでゆけばよろしい(なにしろパレードをする音楽であるわけだし)。ただし、いわゆる「行進」のようにザッ、ザッと拍のアタマで踏むのではない。拍のアタマで体の重心が下にかかるのも間違いである。つまりドスンドスンと歩いてはいけない。
サンバのもっともベースになる大太鼓(スルドという)の音は「テン、ドーン」と聞こえてくるが、「テン」または「ドーン」の瞬間、体は上に向かって伸び上がっている。ということは、「テン」「ドーン」が叩かれる直前に足は既に踏まれているのだ。「ンテン、ンドーン」という感じで、実際の2拍子の拍にほんの少しだけ先行して(「ン」の部分で)ステップを踏む。これによって、軽やかで明るく、どんどん前に進んでいく感じのあるサンバのリズムが表現できる。
もちろんその場での足踏みでもいい。もし座っているのなら腰から上で踊ろう。 言葉で説明するのは本当に難しいのだが、最重要ポイントは、なにしろ、「上に向かう」ことである。座っている状態なら、お尻をきゅっと持ち上げるようにすると、椅子から体全体が上に向かって持ち上がる。
ただ残念なことに、日本では身近になかなか本物のサンバのリズムがない(「お嫁サンバ」とか「てんとうむしのサンバ」はサンバとは名ばかりのまがいものである。「風になりたい」もいまひとつ・・・・)。だから、とりあえずボサノバでもいい。ボサノバは踊るという要素が少なくなっているが、原理は同じである。「拍のアタマより一息手前でのり、拍のアタマでは体が上方向に向かっている」ことによって軽やかさが出る。小野リサなどを聞きながら、ちょっとお試しあれ。気分も軽やかになること請け合い!

(注)以下のYou Tubeリンクはネピア連載中にはなかったものですが追加しました。

↓ミディアムテンポのマイルドなサンバで小手調べ(andanç by Beth Carbalho)

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