設計

設計という言葉の意味は広い。建築設計で言えば、見た目が派手な「コンセプトスケッチ(オリンピックスタジアムのコンペで新聞に載るようなアレですな)」や「CAD図面(いかにもパソコンの前で難しい仕事してるっぽいく見えるアレですな)」なんかは設計作業のうちのほんの一部であり、強度的にここにはどうしても梁が必要だ、材料がいつどこから届くからここから搬入し廃棄物はここに置こう、あの業者は一見アタリがいいが見ていないところで手を抜くから次からはやめよう、などといった地味で事務的な作業も多い。
サンバでの衣装やアレゴリアなどの設計においても同様で、常に予算が不足していることから運搬や構造強度や撤収処理を考慮した上でいかに工夫し材料や工程を省くか、海外発注の場合や多数の人が量産に関わる場合にはどうやってスキルやモラルの差を吸収するしくみを作るか、材料や道具をいつどのように揃えて制作方法をどの程度まで担当者に任せるか、そしてそれら実際的な部分と発案時の理想や表現の本質との間で最適なバランスをどう取るか、というような設計力が必須になってくる。サンバ的な世界では、実現性や観覧者の受け取り方を考慮できず「文句が言えるだけ」「絵が描けるだけ」の人は不要で、上記のようなことを当たり前に考えて対応できる人が求められる。