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『エンヘードをどう聞くか』
石丸ケン
1999/12

エンヘードの話っていうか、どう聞くかっていうはなし。
僕は音程の感覚も鈍いし、最近大きくなって踊るのは・・・なので、今回はエンヘードを聞くときにバテリアの音を僕がどう聞くかっていう話。
エンヘードはすごく特殊な音楽で、あの打楽器の量はPAでほかの弦楽器やプシャドールの音を出すっていう前提なしには考えられない、超打楽器的な音楽(音楽的な打楽器?)だと思うんだな。
僕が「どサンバ」の世界にはまったのは、セルジオ・メンデスのアルバム「Brasileiro」を聞いたのがきっかけ。日本の各エスコーラでも、「セルメン」っていわれてるキメで有名な1曲目「FANFARRA」のバツカーダを聞いて、「な、な、なんじゃこりゃーーーーーー!!」って、ちょっとドキドキするぐらい驚いて、そこだけすり減るぐらい(←CDだって・・・)もう1か月ぐらい聞きっぱなし。で、家の近所にあったクルゼイロに行くようになったんだけど、その先の「暴れん坊少年石丸のサンバな大冒険」の話はまたの機会にして・・・。
その「FANFARRA」なのですが、解説を見ると24トラックも使って録ってるんだぜ」とセルジオおじさんが自慢してらっしゃる。この1分足らずのバツカーダに24個もトラックを使うなんて、広辞苑並に音の厚みがあるっていうことで、当時すんごく驚きだった。(←このレコーディングにはマンゲイラ、ポルテーラ、パードレ・ミゲル、ベージャフロールほかのエスコーラから100人ほどのバテリアが参加したそうです)
エンヘードとバツカーダの魅力(もしかしたらブラジル音楽全体かもしれないけれど)はこの「音の重なり」にあるんじゃないかな、と。よくバツカーダって単純だから、カンタンでいいよね」なんて言ってる人を見かけて「ムムム」とおもってしまうのですが、たしかに構造は単純なんだけど、ダサイ言い方をするとタンボリンなりカイシャなり各楽器が集まったバテリア全体で一つの「リズム楽器」をつくるわけだから、古い言葉だけどグルーヴするのがめっちゃくちゃ難しくって、でもそこが面白くってっていうのがホントじゃないかなと思うです。
僕にとってグルーヴするのに重要なのは、音の場所と音質のふたつの問題なんだけど・・・。音の場所っていうのは、単純に叩いているときにどの瞬間に叩くとすっきりと気持ちよく&カッコよく音がそこに入るかという事。
音質っていうのは音の高さを含めた各楽器の音のニュアンス。これが各エスコーラによって全然違う。たとえば、マンゲイラはタンボリンがコキコキのちょっと安そうな金属製のボディに白くて薄いヘッドを張った音だったりするし、ベージャフロールはコントラスルドが高めのチューニングでカイシャがそのぶん低めのチューニング。僕の大好きなグルーヴをしてる、ヴィラドゥロはスルドがコントラも含めて全部低めのチューニングになっていて、ブーンブーンっていう飛ばしすぎないクールなテンションでタンボリンは木のタンボリンに青いヘッドをパキッと張った音。
2000年のはまだ聞いてないのでわからないけど、99年度版のエンヘード集は超高速BPMの「速いモノがち」感がやっと薄れてゆっくりな曲もあるので聞き分け易いかも。このコーナーにも前に書いてあった「AO VIVO DA SAPUCAI」もバテリアだけなのでいいカンジ。
どういうことかというと、「コントラスルドが高いチューニングだとそこが1拍目だっていうのがはっきりするから、ダッダッダッっていう拍のハッキリしたカンジが出て安定するけど、そのぶんコントラの高い音質に引きずられてほかの楽器が走りやすい」なんていう法則がいろいろある気がする。「自分の好きな音はコレ」っていうのでもちろんかまわないんだけど、「どんどん前に進むカイシャをスルドが安定しててバランスをとる」とかそういうバテリアのテイストの好き嫌いをリベルダージのみんなが持ってくれるといいなと思っております。
音質の違いや叩き方の違いで出てくるニュアンスで、参加してる人によってグルーヴはどんどん変化していくし、その中で自分が思ってるグルーヴ感を作りたいなら、他の人とのコミュニケーションっていうか意志疎通が絶対に必要。それがないとサンバはつまらないと思う。
バテリアの人の話になっちゃうけど、一つの楽器の中でスルド同士で作るグルーヴにこだわってると、スルドとタンボリンで作るグルーヴもパッと見えると思うし、バテリアとダンサーの間のグルーヴも、パレードで演じる人とアレゴリアを押してる人も、究極は、エスコーラの人とそのパレードを見てる人の間のグルーヴの中でグチャグチャ一体になれたらいいなー。とそんなことを考えつつエンヘードを聞いているのでした。

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