| 当たり年と名高い『'95
        SAMBAS DE ENREDO GRUPO ESPECIAL』。思い入れのある方も多いのでは?今回は2人がその熱い胸のうちを語ってくれました。 注:#SAMBAS
        DE ENREDO
        (エンヘード)=カーニバルのためのサンバです。毎年、テーマにそって作曲されます。
           #GRUPO ESPECIAL (エスペシシャル)=ブラジルのリオやサンパウロなどのカーニバルでの、一番上のリーグ。下記のマンゲイラやヴィラドーロはそのリーグのチームです。
 @スルディスタ美香ちゃん登場!!
        (#小山美香ーーまだ正式入会していないうちから!スルドのパートリーダーになったツワモノ。最近は歌とカヴァコに目覚める。今年からお茶の水女子大大学院生。生粋の大阪人#)『私とエンヘード(その1)』
 お気に入り=G.R.E.S ESTACAO PRIMEIRA DE MAN
        GUEIRA(マンゲイラ) 私がサンバにハマったきっかけは実はエンヘードなのです。私が大学1年のとき
        は(みんな「うそだあ?!」って思うかもしれませんが)まだサンバがさほど好きではなく、家でサンバを聞くことも全然なかったのです。ある日、レポートを書くのに、「何か聞き流せる音楽ないかなー」と思ってテープをガサガサ探していたら、先輩にもらった'95のカルナヴァルのエンヘード集のテープがふっと目にとまったのです。で、なんとなくかけていたらレポートを書く手が進む進む。
        ・・・今にして思えばあの前へ前へと突き進む感じがよかったのでしょう。それから音の厚さ。いろんな楽器がいろんなリズムを刻んでいて、そこにコードがのっかって、歌ものっかって、1つの熱い流れになっている。そのすごさに気づいたんです。・・・余談ですけど、以前、金沢さんが「サンバはビビンバだ」・・・つまり一つ一つの具は格別派手でもないし、それだけ食べても(サンバだと叩く、とかになるかな)たいしておいしくない(=楽しくない)けど、全部を混ぜ
        ると何物にも代えがたいくらいおいしいものになる、ということをニュースに書いてらっしゃいましたけど、まさに同じことを思ったのです。
 ・・・その話は
        一旦おいておいて、そのレポート執筆中に耳にとまったエンヘード、それは・・
        ・'95 SAMBAS DE ENREDO GRUPO ESPECIAL G.R.E.S.ESTACAO
        PRIMEIRA DE MANGU EIRA・・・そうです。マンゲイラなのでございます。マンゲイラといえばその1
        年前('94)の♪Me leva que eu vou・・・や'86の♪Temximxim・・・とか
        が有名ですけど、(もちろんこれらの曲も私は大好きです)数ある'95Enredo
        の中で私の耳(&心)をとらえたこの曲に強い思い入れを持っているのです(この曲に思い入れを持っている人を他にあまり知らないのですけど;)。まず、イントロからして熱い!大音響のバテリアをバックに
        "uh! Mangueira!!"と叫んでいます。バックになっているバテリアも推進力があり(特にタンボリン!)、出だしからすごいボルテージです。・・・と思うとさわやかなカバッコの小イントロが入り、「おっっ?」と思わせてくれます。そのあとは最後までハイテンション。スルドの重厚さとタンボリンの妙技・迫力、迫りくるカイシャの波、クイーカの迫力、それらがひとつになった強い推進力は他を圧倒してると思います。あまり技巧的でないメロディーもここではまた魅力。メロディー自体はゆったりしてるのにずんずん前へ進むこのノリはほんとにすごいと思います。・・・みんなせっかくリベルダージでサンバやって、浅草にも出て、エンヘードやるんですもん、いろいろエンヘードを聞いてみましょう!「エンヘード」って独立している特別な1ジャンルみたいですけどいろんなサンバにつながっているものだと私は思います。運命的なサンバ・エンヘードとの出会いが待っているかもしれませんよ(出会った後のことについては一切責任持ちません<笑>。
        ・・・ちなみに私はもはやエンヘードを聞きながらレポートを書くなんてことはできません;)。
 @ジョバンニお気に入り=G.R.E.S UNIDOS DO VIRADOURO(ヴィラドーロ)
        95年を良いと感じる人は多いようです。僕も始めて聴いたエンヘード集(しかもこれだけをひたすら2年も聴いていました)でとても想い入れが強いです。エン
        ヘードにはなかなか甲乙つけがたいのですが、95年の中で最もお気に入りなの
        がVIRADOUROです。なーんにも知識のない状態で16曲の中からこの曲が一番心に残りました。エンヘード狂になるキッカケがこの曲でした。曲を好きになっただけで、歌詞の意味もサンバのリズムがどーだのという知識や技術も何も無い状態での運命の出会い?でした。最初に花火の音がババババババっとして、掛け声がして・・・プシャドール(歌手)の歌声がなんだか平和な感じがして、他の曲に比べると、ちょっと単調なんだけと、じわじわ曲が盛り上がってくる所が好きでした。当時、僕は大学受験や他の事で結構へばっていたのですが、この曲が心身ともに癒しを与えてくれました。僕は思春期に色々なジャンルにハマッて来ましたが、思春期的なベクトル(なんだそりゃ?)で音楽依存症になり、たどり着いたのが「リオのカーニバルでやってるサンバ」だったのです。皆さんはどう感じますか?!
 *パレードを盛り上げよう!
        「熱狂と一体感 その2」 さて、今回はパレードの演出について取り上げたいと思います。皆さんはリオのエスコーラのパレードをどの位観察していらっしゃいますか?煌びやかなファン
        タジア(衣装)やアレゴリーア(山車)そして圧倒的なスケールに圧倒されてしまいますが、盛り上げるためにする事はそれらが無くても取り入れることが出来
        るのではないでしょうか。リオのエスペシシャルは商業的なイベント化の為にサンバパレードの持つ原始的な可能性と魅力が失われつつありますが、色々な工夫
        がなされています。新旧のパレードの演出をここでピックアップしてみます。
        「パレード(祭り)をもっと盛り上げたい!」
        ・パレードスタート後、観客をのせる為の工夫(サンバパレードは「通過」にあらず
        !)
 
 @「揃えるという事の重要性」
        (構成力、完成度)
        97年、モシダーヂは曲の錆の前の盛り上げ上昇してゆく部分で突然バテリアが
        演奏をパタリと止め、しゃがみこんでその間は歌と弦だけの演奏と観客を含めた
        数万人の歌声が会場にこだまし、錆の部分からまたドワーっと演奏が始まるという演出がなされていました。このバテリア無しの"ため"の部分のボルテージの上がり様と一気に堰を切ったように歯切れ良く始まるバテリアの演奏に会場はこの年のカルナバルの最高潮に達しました。観客との大合唱は日本では無理ですが、この演出は練習すれば使う事が出来るのではないでしょうか。そして実現すれば正に「トリハダモノ」ではないでしょうか。
        "ため"といえば、リオのエスコーラはスタートしてすぐバテリアが入らず、プシャドール、弦、スルド1人だけで数コーラスエンヘードを歌い続け、ヂレトールの限界ぎりぎりテンションのアピートの後にこれもまた堰を切ったように一気にバテリアの演奏がはじまるという形態がとられています。言うまでもなく全てに言えると思いますが、やっぱり「揃う事」はプレイしている人間、見ている人間
        共に最高に感動することと思います。
 
 @「全員がエンターティナー」
        「祭り屋意識を持てたら・・・!」
        街のみなさんは「何が来るんだ?」と、とっても好奇心を持ってリベルダーヂのパレードを待ちわびています。熱狂を生むためには我々が熱狂していなければならないと思います。己の魂をギラギラと燃えあがらせ、最高に歓喜している様子はそれを目撃した人の魂を揺さ振るのだと思います。
        世界一のリベルダーヂの笑顔は街の人の笑顔を呼びます!歌う事(歌手でなく全員)、踊る事、演奏に集中することはとてもとても大事な事と思います。でも、しかめっ面してたら恐いです。ふざける訳ではありません。笑いましょう!!心が躍る気持ちをもっとファンキーに表現すると何時の間にか笑ってます。そんなあなたを見た人はもっと嬉しくなって笑います。みんなが笑えばみんなが幸せです。
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