〜パゴーヂ・オキナワーノ〜     2001.5 <おおゆみこサンバ化日記>

●かねてからの「懸案事項」でもあったのだが、先日、リベジの何人かで自由が丘にある「なんた浜」という沖縄居酒屋に行って来た。何年か前にも一度みんなでおしかけたことがある。竹富島出身の郷友会の方々が定例の会合の後で宴会に来ていて、宴がすすむと「じゃあそろそろ」とか言って、三線が取り出され、老若男女がこもごもに交代で弾いたり歌ったり踊ったり、が始まってしまった。むろんそのウワサを聞きつけていたので我々も行ったのである。そしてもちろん、一緒に混じって手拍子をし、踊り、そして「答礼」?と称してサンバを披露、こんどは先方も大喜びしてくれて、一晩中わいわい大騒ぎ。

●その再現をもくろんで、竹富島の人たちが来るはずの第1土曜を狙って再訪した。事前に店に電話をしてみたところ、「その日はライブやるのよ」と店のおばちゃん。「何のライブですか?」「いやー、よく分かんないんだけどさぁ。3日前に決まったばっかりで。でも黒人の人とかも来て、楽しいから来てよ」「はあ」

●なんだか分からないが−−お店の人にも分からないものがこちらに分かるはずもないが、「そうか楽しいのか、そうかもしれない」と、期待半分不安半分でとりあえず行くことにした。行ってみると、店はほぼ満員で我々5人はすべりこみセーフといったところ。「きょうはライブをやるんで、飲み放題食べ放題で5000円だけど、いい?」とおばちゃん。通常の営業の時は、「高い」というほどではないが、普段我々が行く居酒屋の調子でやるとちょっと会計の時ツライかな、という値段のところなので、5000円なら文句はない。とはいっても、ライブチャージも込みということなのだろうし、飲食の内容的にはさほど期待していなかった。

●ところが、ふたを開けてみると掛け値なし、文字通りの「飲み放題食い放題」である。泡盛は一升瓶でテーブルに置かれているし、料理はテーブルに乗りきれないほどどんどん出てくるし、おまけに好きなものを注文もできる。私は行く前、偏頭痛に苦しんでいて「きょうは控えめにしか飲めないな」と思っていたのだが、そんなものはどこかへ吹っ飛んだ。

●ナゾの?ライブは宮城さんという日本人と、バイロンさんというアメリカの黒人の三線デュオであった。少年の頃、米海軍の父親の関係で沖縄に来たバイロンさんは、その後アメリカの大学に行ったが、沖縄をこよなく愛し、今は再び沖縄に「帰ってきて」三線を弾いたり教えたりしているという。沖縄訛りの日本語に不自由はないのだが、そうはいっても黒人独特の声や雰囲気で、沖縄の古い島唄や「花」などを歌い上げる。どこかブルースを感じさせる島唄が不思議な響きだった。

●ライブも進めば、当然カチャーシーである。客より先にエプロンをつけたお店のお姉さんが踊り出す。踊る人も踊らない人も、すでに店の中は「みんな友だち」状態になっている。はじめは何組かの、それぞれ知らないグループだったお客さんたちが、みんなバラけて勝手に新たな話の輪が再編されている。このあたりから私の記憶はとぎれとぎれで、よくもまあ忘れ物もせず家にたどり着いたものだ(駅から家までまっすぐ歩けなかったことは覚えている)と不思議になるほど酔っていた。しかし「むちゃくちゃ楽しかった」記憶が体の芯に刻まれている。

●なにしろ食いまくり飲みまくった。これで5000円じゃ店として採算合わなかったろう、ライブチャージどころじゃなかっただろう、と思ってふと気づいた。今回のライブ、お店の人にとっては営業的な発想のものではなかったのに違いない。ライブをやったデュオは、デパートなどでやった沖縄物産展でのイベントの仕事で沖縄から出てきていたのだった。「沖縄から出てきているんだったら!」と、店の人か、あるいは常連さんが急遽彼らを呼んで「ライブ」しよう、ということになったようだ。お店にしてみれば、このライブは「営業」でなく、「お祝い」だったのだ。お祝いだから、金銭的には「出血大サービス」で、むしろ「振る舞い酒」ぐらいの感覚だったかもしれない。ううむ。ラッキーだった。得した! 飲み食いもさることながら、あの楽しさを味わったことが超ラッキー。

●さて、ここでそれなりに話題をサンバやブラジルに結びつけてきれいにまとめよう、と思ったのだが、字数が足りなくなってきた。異例ながら「次号に続く」ということで。

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