| 〜求めよ,さらば与えられん〜 | 2000.4 | <おおゆみこサンバ化日記> |
●このあいだの練習の後,田やで飲んだとき,太田丸はいきなり田やのおばちゃんにマンドリンをもらってしまった。関口君にカバッコの奏法のコツを伝授していたのだが,それを見たおばちゃんが,「うちにも『ウクレレ』あるからさー。だれも使ってないからやるよ,今持ってきてやっからな」と言って持ってきたのが,マンドリンであった。結婚してしまった娘さんが使っていたということで,若干壊れているところがあるのだが,立派な本物のマンドリンである。
●ここで大いに不思議なのは,太田丸自身が,つい最近ショーロバンドを組んだ関係で自らマンドリンに興味を持って,一台買いたいと思っていた矢先だったということである。実際にその前々日ぐらいに,楽器屋に行っていくらぐらいするものか見ていて,けっこうな値段なので今は無理かなあ,と思っていたという。それより前は,特にマンドリンに興味はなかったのである。もし興味のない時にマンドリン(ウクレレ?)をくれると言われても,置き場所にも困るし,いらないと言ってしまっていたかも知れない,と本人は言う。「あまりのタイミングにびっくり」だと。
●彼は日本で2〜3人しかいないだろうと言われるプロの「7弦ギター奏者」であるわけだが,彼の仕事道具であるその7弦ギターにしても,妙ないきさつで彼の元にやってきた。それまで普通の6弦でジャズを弾いていたのだが,サンバに接して7弦ギターに興味を持ち,どこかにないものかと探し回ったが,おいそれと普通の楽器屋にあるものではない。あったとしても(民族音楽楽器を扱っている店に一台あったのだが)けっこう高い。ブラジルに行って探さなければだめかなあ,まあ当分無理だなあ,と言っていた。
●ところがある日,池田まこpが「幡ヶ谷の質屋に7弦ギターがあった」と知らせてきた。質屋に? 太田丸がすっとんでいくと,果たして確かに7弦ギターは質屋に鎮座ましましていた。しかも値段を見ると「3万円」。興奮のるつぼと化した太田丸は,あまりにもあからさまに欲しがりすぎて百戦錬磨の質屋のオヤジに足もとを見られ,「もう他に買いたいって人がいるんだよね」などともったいぶられたあげくに,5万円に値上げされて,それでも嬉々として買ってきた。「値切るどころがボラれて買ってきた7弦ギター」としてシャカラのライブではしきりにMCのネタにされていたものである。まあそうはいっても5万円。いささか修理を要したので,結局はそれなりにお金はその後もかかっているのだが,とりあえずそんなふうにして彼のところに,おそらくは日本に十台もあるかどうかというブラジル製の7弦ギターはやってきたのだった(最近は7弦ギターがひそかなブームとのウワサを耳にしたが,それは必ずしもブラジル音楽のために使うものではないらしい。7弦ギターの本家本元ブラジルのものはやはり多くないはず)「やってきた」としか言いようがない。「それ」は,幡ヶ谷の質屋なんぞで彼のことを待っていたのだ,と思いたくなる。
●「叩けよさらば開かれん」そして「求めよ,さらば与えられん」なのである。その人にとって必要なものは手に入るのである。私自身も,42年の人生の中でそんな経験は思えば山ほどある。しかし,それは上記のような「劇的」なものばかりではもちろんない(でも「劇的」に思えることだってたくさんある。書いているときりがないし,ちょっと照れくさくもあるからここでは書かないが)。あるときふと「あ,そういえば私はこれがずっと欲しかったんじゃなかったっけ」と気づくのである。そうやって,「いつのまにか」望みが叶っていたりする。夢に描いた正確な形ではないかもしれないので,「これがそれじゃないか」と気づくのが難しい場合もあるが,少しだけ見方を変えると,必要なことであればいつのまにか自分のところに「来る」。
●探し求め,欲しがり焦がれ,手を伸ばしているときに来るとは限らない。いや,そういうときには来ないものである。ふと,探すことから力を抜いて,息をついたとき,まったく予想していなかった方向から「それ」はやってくる。とても幸いなことに,私は今まで「それ」に気づくことが出来てきたような気がする。だから,安心している。必要なものはいつのまにかやってくることが経験上信じられるから。
|
liberdigiトップ へ
|
おおゆみこ |
日記才人の投票ボタンです。 |